作文・小論文の書き方

ウェブリー教務課の江草優美です。

以前、入試制度がこれから変わっていくので、読解力を鍛えなければならないというお話をしましたが、今回はそれと対になる「表現力」について、具体的には「作文・小論文の書き方」についてお話しようと思います。

まず、基本の作文の書き方から説明します。

普通の作文についても小論文にしても、ある程度の長さのまとまった文章を書く際には、どうしても準備が必要になります。また、ある程度書く練習もする必要があります。

作文など文章を書く基本の手順は以下のようになります。

①書く材料となる内容を集めて、メモにして書き出す

②書き出した中から、作文に書く材料を選ぶ

③選んだ材料について、内容をふくらませる

④作文のおおまかな構成を考えて、メモする

⑤メモをした内容を元に、文章にして書く

⑥書いた文章を読み直して修正する

この手順を無視していきなり書き始めても、内容が薄くなったり、逆に色々な情報がまざってわかりづらくなったり、構成や流れがちぐはぐになったりしてしまいます。しっかりこの手順を押さえましょう。

 

①書く材料となる内容を集めて、メモにして書き出す

課題では、だいたい決まったテーマがあると思うので、そのテーマについて思いついたことや調べたことを、とにかくどんどん書き出してメモしていきましょう。ちょっとしたことでも大丈夫!

②書き出した中から、作文に書く材料を選ぶ

①でいろいろ書き出した材料の中から、作文に書くものを決めましょう。その時には、「自分が書きたいもの」「自分が文章にして書きやすそうなもの」を選ぶとよいです。選ぶときはいくつも選ぶのではなく、1つにしぼりましょう!2つ以上の内容を書くと、一つ一つの内容が薄くなってしまい、言いたいことや伝えたいことがわかりづらくなります。

③選んだ材料について、内容をふくらませる

選んだ材料について、具体的に、詳しくかけるように内容をふくらませていきます。自分の今まで見てきたこと、聞いたことなど、体験を書けると一番よいです。体験を書く時は「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように」をしっかりはっきりと書きましょう。また、自分の考えを書く時も、理由や根拠をしっかりと書かなければなりません。人から聞いた話でもよいので、具体例を出しましょう。その場合は、読む人が誰でも思いつきやすいような身近な例を出しましょう。

④作文のおおまかな構成を考えて、メモする

作文の全体の構成を考えて、メモを残しておきます。作文の構成の基本は、「はじめ・なか・おわり」です。

はじめ:これから書くテーマや話題、言いたいこと(結論)をざっくりと書く

なか:結論やテーマに沿った、自分の体験や意見の理由・根拠・具体例などをくわしく書く

おわり:文章のまとめとして、もう一度自分の言いたいこと(結論)や、考えたことなど意見をざっくりと書く

これが文章の基本のリズムになります。はじめとおわりはざっくりと(抽象的に)、なかはくわしく(具体的に)書くように心がけましょう。

また、自分の体験を書く時に、自分の気持ちを文章で表現すると思いますが、その時に表現方法も工夫しましょう。ただ「うれしかった」「楽しかった」と書くのではなく、「飛び上がるほどうれしかった」「あっという間に時間が過ぎてしまうほど楽しかった」など、ちょっと工夫してみるとよいです。

⑤メモをした内容を元に、文章にして書く

メモをした内容を文章にしましょう。その時に気をつけておくべきことは、「主語と述語の関係を意識すること」「一文が長くなりすぎないこと」です。

夢中で文章を書いていると、一文が長くなり、主述関係がわかりづらい文になってしまうことが多いです。例えば、「ほくは今日学校に行って、友達と教室で定規を使って遊んでいたら定規が壊れてしまって、先生に怒られたからとても悲しかった。」という文。一文だけでたくさんの出来事が書いてあり、かなり長い文になってしまっています。読む側は「だれが・どうした」という主述関係がすぐに頭に入ってこない状態です。

これを「ぼくは今日学校に行った。友達と教室で定規を使って遊んでいた。すると定規が壊れてしまった。だから先生に怒られた。怒られてぼくは悲しかった。」というようにそれぞれの出来事を分けていくつかの文にすると、読む側の主述関係がすぐにわかり、内容が頭に入って行きやすくなります。さらに、文章にリズムが生まれます。「ちょっと短いかな?」くらいで一文を書くとちょうどよいと思います。

あとはもちろん主述関係のちぐはぐな文を書かないこと。「私の将来の夢は、おいしいケーキを作ります。」といったような文です。気をつけて書いたり見直したりしなければ、意外とこういう文を書いてしまいがちになります。常に「だれが・どうした」という主語・述語の関係を意識しましょう。

⑥書いた文章を読み直して修正する

一通り書き終えたら、必ず何回か読み直して、ミスがないか見直しをしましょう。必ずどこかに修正すべき部分が出てくるはず。夢中で書いている時には気がつかなかったことが見えてくるはずです。見直す時は、

・字の間違いはないか?

・原稿用紙の使い方に沿っているか?

・主述関係がちぐはぐな文はないか?

・一文が長くなりすぎていないか?

・文章全体の話のつながりはおかしくないか?

を意識して見直しましょう。

 

文章の書き方の基本は以上になりますが、ここで受験の時の作文を書くときに一番問題になるのが、作文の下準備となる①~③の時間です。受験時には時間制限があります。時間内で内容を考えて文章を書かなければならないので、いかに準備の時間を短縮できるかが鍵になっていきます。

そこで「あらかじめ書く材料を用意しておく」ことが大切になります。テーマによって書きやすさ、書きづらさは変わってきますが、作文では「自分の体験を書く」ことが多いと思います。この「自分の体験」を事前に考えておくことが大切です。

小学校生活・中学校生活などで、自分が今までに体験してきたことをまずはとにかく書き出します。その中で特に印象に残っているもの、文章に書き表しやすいものを4~5個程度書き出します。そして、選んだ出来事を思い出して、「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように」など、詳しいことをメモ程度でいいので書いていきます。また、「その時自分は何を感じたか?考えたか?」「その出来事をきっかけにこれからどうしていきたいと思ったか?」も詳しく書いていきます。

この作文の準備を受験前に時間を取ってしておけば、試験本番ではテーマに合った出来事をその中から選んで、構成を考えて書いていくのみになります。試験時に一から体験を思い出してメモをして構成を考えて・・・としていくと時間が足りなくなる場合が多いです。必ず下準備をしておきましょう!

 

次は小論文についてです。

小論文でも、文章の書き方の基本は作文を同じになります。構成は「はじめ(結論)・なか(理由や根拠など具体的な内容)・おわり(結論)」にしましょう。時々型破りの文章を勧めるものもあるようですが、よほど文章を書くのに慣れている場合でなければ、この基本の文章の形に沿ったものにした方が無難です。なにより、これが一番文章のリズムがよいのです。

そして、小論文で一体何を判断して点数が付けられるかというと、

○論旨(段落構成)の明確さ

○内容の独創性

○文章表記や漢字、仮名遣い、字数などが合っているか

です。一番下は基礎中の基礎ですね。もちろん、最もよく見られるのが上の二つになります。

小論文を書くときに意識するとよいことは、「抽象的な内容の段落と具体的な内容の段落をはっきりわけること」です。

「抽象」と「具体」とは何かわかるでしょうか?「抽象」とは「おおざっぱにまとめた言い方」、「具体」は「実体をそなえた詳しい言い方」です。

例えば、「動物」には「犬、猫、パンダ、ライオン」といった種類があります。この「動物」が「抽象的な言い方」で、それぞれの種類である「犬、猫、パンダ、ライオン」が「具体的な内容」になります。

小論文を書くときは、「自分の意見」が「抽象的な内容」、「意見の理由や根拠」が「具体的な内容」となります。そして、文章として書くときは「はじめに抽象的な意見、なかで具体的な理由・根拠・体験など、おわりにまた抽象的な意見を書く」ことになります。この段落分けをはっきりさせることを意識しましょう。

 

ここからは小論文でのちょっとしたテクニックの話になりますが、「なか」で「具体的な内容」を書くときに工夫できることとして、「反対意見を書きつつ、はっきり反論する」「反対の性質のものを挙げて、違いをはっきりさせる」という論の展開方法があります。よく論説文を読むときに遭遇するのではないかと思います。

どちらも自分の意見と反するものを挙げることで、違いを明確にし、その上で自分がどうしてそれに反対するのかを出すことで、より自分の意見をはっきりさせることができます。

 

小論文の練習は、まず様々なテーマで小論文を書いて、先生や周りの人に添削してもらうことから始まります。特に、学校や塾の先生にしっかり添削をしてもらうとよいです。テーマは小論文の問題集や、いろいろな学校の過去問題など使ってみるとよいです。

また、普段から、社会や文化など様々な話題に触れておくことも大切となります。作文と違って、身近なテーマからあまり普段の日常生活とは関わりのないテーマまで、いろいろなテーマが出題されます。自分の志望している学部や学科と関わりのある話題はもちろん、政治、経済、文化…新聞やインターネットで話題となっていることについて、関心を持ってある程度知っておきましょう。テーマについて何も知識がない状態では、意見も何も書けません。

また、志望校がはっきりと決まったら、その志望校の過去問題をチェックし、小論文の出題形式や傾向をしっかり調べておきましょう。同じ大学でも学部によって出されているテーマが違うことが多いので、自分の受けたい学部の問題を調べましょう。小論文と言っても、出題形式も様々あります。過去問題の研究と演習は小論文でも大事です。

 

作文も小論文も、事前の準備や練習、対策が大事です。また、普段の自分の体験や興味関心が関わってきます。入試で作文や小論文があると分かったら、すぐにでも対策を始めましょう!!

ウェブリーがあなたの作文・小論文の書き方をサポートいたします。