社会と理科の勉強は覚えるだけ…?それではダメ!!

こんばんは、Wevery教務課の江草優美です。

1月も終わりに近づき、各地で気温が急激に寒くなってきて、大雪になっている地域もありますね。岡山は雪がちらつくことがありますが、まだ私は積もっているところは見たことがないです…。

中学受験をした生徒の結果が少しずつ出始め、嬉しい報告が続いております。高校受験の生徒は、これから私立高校の入試が始まり、いよいよ入試がスタートします。生徒も講師も、入試に向けて意気込んで指導をしております。

受験がない生徒も、そろそろ学年末考査1カ月前となるため、面談で目標点を決め、学年末考査に向けて意識をしてもらっております。

 

本日は、理科や社会の勉強についてお話しようと思います。

理科や社会はどんな勉強すればいい?と聞くと、大抵の人は「覚えればいい」と答えると思います。確かに、たくさんの用語が出てきて、ひたすらそれを覚えていき、テストでも一問一答のように出題をされて用語を答えておしまい…ということが今までは多かったと思います。

しかし、それだけでは、試験ですでに対応ができなくなってきております。

例えば高校入試。普通の公立高校の入試でも、全国的に記述問題が増加する傾向にあります。記述問題では、その用語や出来事、現象についての内容をしっかり理解していなければできません。また、選択問題でも難化傾向があります。選択問題というと、複数ある選択から1つを選ぶ問題が思い浮かぶと思いますが、最近の入試では「すべて選べ」という問題が増えてきています。こうなると、一気に正答率が下がり、対応できないお子さんが多いです。また用語を答える問題だとしても、問題そのものが文章が長く、たくさん読まないと何を聞かれているかわからない、というケースも増えています。

これは高校入試だけでなく、中学入試でもその傾向があり、もちろん大学入試もこのように変わっていきます。センター試験の廃止で、一部記述問題が取り入れられる話は聞いたことがある方も多いと思います。センターだけでなく、個別の入試も、思考力を問われる問題が増えています。

この傾向は今後しばらくは変わらないでしょう。というのは、「2020年の教育改革」があるからです。この教育改革では、学生に3つの能力を育てることがすでに定まています。「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」の3つが、「学力の3要素」と定められ、入試ではこれらをバランスよく判断するように変化していく予定です。

 

今までの試験では、「知識・技能」が中心でした。それが、「思考力・判断力・表現力」も求められるように変化していくということです。そして、これらを判断するような試験は今まで全くなかったわけではなく、一部で行われていましたが、それが全ての試験で見られるようになります。(今まで行っていたものとして代表的なものが、「中高一貫の公立中学入試」です。思考力や表現力が試される問題ばかりで、「適性検査」と呼ばれることが多いです。)

では、実際どんな問題になっていくのか。以下に例を示します。これは、公立中高一貫校の入試対策の問題集「アインストーン」の一部です。

携帯電話の普及と国内の郵便物・荷物の数、そしてインターネットショッピングとの関連について問われている問題です。まず始めにけんじさんとお父さん二人の会話を読み、その次に3つのグラフがあります。問題を解くには、それらのデータを読み取って、記述していく必要があります。

単なる社会科の問題と違い、まず問題文が長いです。このような問題文が長いものは、中学受験だけでなく高校受験でも増えてきています。この問題では問題文はあまり読まずとも解けてしまいますが、ほとんどの問題はしっかり問題の文章を読まなければ正解にたどり着けない、問題の意図が読み取れないものとなっています。

また、グラフの読み取りがあります。これは社会・理科ではここ最近頻出となっています。表やグラフについては、読み慣れていないと全く意味が分からない・正しく読み取れないということが起こります。しかも表やグラフが1つだけでなく複数あり、それぞれの関連性までしっかり読み取れないと、この問題は解けません。ただの読み取り問題よりもハードルがかなり高くなっています。

このように、ただ表やグラフ、文章を読み取るのではなく、それぞれのデータや文章をしっかり読み取った上で、さらに関連性を考え、自分の言葉を使って説明する、という課題が公立中高一貫校では出やすいです。そして、これが他の入試でもだんだんと増えてきております。

今まであったような社会や理科の問題は、「知識があるかどうか」でしたが、この問題では知識についてはすでに問題にグラフという形で出されています。問われているのは「出されているデータや知識から、いかに自分で考え記述できるか」であり、もちろん身のまわりの事象も知っておく必要はありますが、中心になるのは「思考力・判断力・表現力」です。まさに教育改革の本筋に関わってきます。

 

ところで、なぜ今知識だけではなく他の思考力や判断力などが大切になってくるのでしょうか。それは、インターネットの普及やタブレット端末などの普及が挙げられます。今の時代、知りたいことはインターネットで調べればだいたいすぐに調べられ、知識を得ることができます。(もちろん、その情報の真偽は判断する必要がありますが。)

知識は自分で持っていなくても、すぐに手に入るため、大切なことはその知識をどう使っていくか?ということになっていきます。これが、「思考力・判断力・表現力」です。これからの時代、社会がどう変化していくか、どんな時代になるのか全く読めないようになっていきます。すでに変化は激しい時代、これからさらにその変化が激しくなることが予想されます。そんな中で生き抜く力をつけるのが、教育改革の目的の1つです。そして、Weveryでもそこを意識しています。

 

では、話をもとに戻しますが、社会や理科の勉強はどうしたらいいのか。

まず社会科では、それぞれの項目や事柄の関連性を考えることが大切です。例えば、地理の場合、産業を習ったら、「なぜその地域にそのような産業が発達したのか?」と理由を考えることが第一歩です。地形ならば「その地形であるがゆえに、気候にどんな影響が出ているか?周辺に住んでいる人々にどんな影響が出ているのか?」などが考えられるでしょう。歴史なら、出来事の繋がりを意識すること。「その出来事はなぜ起こったのか?その出来事がきっかけとなって起こったことはないか?」です。

理科の場合、その現象が起こる仕組みを自分自身で全て説明できるようにすることが一番良いでしょう。例えば、中学3年の化学で習う「化学電池」。電流や電子の流れの向き、どの金属の組み合わせなら電流が発生するか、どちらが+極・-極になるのか、などは答えられても、じゃあ化学電池の仕組みは?とだけ聞くと全く答えられなくなってしまう生徒が多いです。それぞれの事柄を別々に覚えるのではなく、関連付けをして理解していくことを意識しましょう。

 

ただ単に知識を一つ一つ覚えるだけでは、今後入試は全く対応できなくなるでしょうし、さらにこれからの時代生き抜いていくのは難しくなるはずです。そしてこれは子ども達だけでなく我々大人も大事なことになっていきます。思考力や判断力、表現力に関する問題はどんどん子どもたちに解かせていく必要がありますし、保護者の方も一緒に問題を解いてみてもいいかもしれません。

(ここで出した社会の問題はあえて答えは載せないので、ぜひやってみてください。)